Re: 大学生がゲーム会社にプログラマーとして内定が出るまでやってたことを晒す(新卒一年目を終えて)
前置き
2年前の3月、ブログで大学生がゲーム会社にプログラマーとして内定が出るまでやってたことを晒すという記事を書いたのですが、これが存外好評で、色々な人に見ていただいた。
2020年4月から、この時内定を頂いたコンシューマゲーム系の開発会社に無事就職し、今もゲームプログラマとして働いている。COVID-19の影響で、入社以来ずっとリモートで就業を続けているという特殊な環境にはいるが、当時ブログを書いた学生の頃には見えていなかったものが見えるようになった。そこで、改めて当時(2020卒)の自分の就活事情について振り返りつつ、ゲーム業界への就職を考え出した大学生の自分が知りたかった情報を整理してみた。
就活時の筆者のスペック
- 学歴
- 地方国立大学のシステム系工学部生(学部卒)
- 開発経験
- 大学入学時にプログラミングを始めた
- 就活時に使えた言語・ゲームエンジンは以下の通り
- C / C++ / Python / Unreal Engine ... それなりには使った
- C# / Java / Unity ... 触り程度で使ったことがある
- 学生時代にUnreal Engineを使って小規模のゲームを2本作った
当時の就活戦略
インターン
今どきの就活、特にIT系はどうしてもインターンありきなところがある。私も例に漏れず、5社のインターンに応募して、内2社のインターンに参加した。インターンに参加した2社の内1社は、本選考まで進み、内定を頂いている(諸事情で辞退したが)。
インターンに参加することのメリットは、「インターン参加者限定の早期選考ルートに案内されることがある」「現場の人間のナマの声が聞ける」「同年代の凄く強い奴らに出会える」というところだと思う。インターンには絶対参加すべきとは言わないが、もっと頑張ろうというモチベに繋がるので、都合が合うのなら是非参加してみるべきだと思う。
逆求人イベント
サポーターズや、ジースタイラスの逆求人系のイベントにそれぞれ1回参加している。これは、当時の就活を振り返って一番といってもいい経験だった。
逆求人イベントとは、事前選考を通過した学生がイベントに参加する企業と面談ができる、というイベントだ。選考があるため、参加する学生の数は必然的に限られてくる。そのため、通常の合同会社説明会と比べて企業の採用担当者と1対1で話す時間が長く取れる。加えて、大体のイベントで交通費を支給される。これはお金のない学生の身分には非常に助かった。
今は世の中がこの調子なので、リアルスペースでのイベント開催ができていない(だろう)が、調べたところ、変わらずオンラインで頻繁に開催しているらしい。事前選考も、ある程度のアウトプットがあればだいたい通ると思うので、就職を考えている学生は挑戦してみるといいと思う。
面接対策
面接対策といっても大したことはやっていない。上述の逆求人イベントを通じて、企業の採用担当者との会話にはある程度慣れていたので。こればかりは、本人の資質と場数がものを言う。
あ、ただし面接の最後に聞かれる「なにかそちらから質問はございますか?」の回答は事前に準備しておいたほうがいい。
ブログ・Twitter
正直に白状すると、このブログは就活対策として始めた。結果としては大成功だったと思う。聞いた限りでは、ブログで積極的にアウトプットしている姿勢は高評価を頂いた。アウトプットの一つの形として、ブログはおすすめしたい。
Twitterは就活に関係なく高校時代から使っていたが、結果として就活に一番役にたったツールだと思う。今働いている会社もTwitter経由で会社説明会の存在を知り、そのまま説明会参加→書類提出→面接→内定までつながった。
2年前の記事で、自分はTwitterについて以下のように書いていた。
Twitterには、沢山のつよいひとがいる。開発過程・進捗を、ハッシュタグをつけて(UE4だったら #UE4Study)ツイートすると、RT・ふぁぼしてもらえたり、アドバイスと言う名のマサカリが飛んでくる。それをモチベーションにしてまた新たな進捗を生み、また拡散・アドバイスしてもらえる。これを「正のSNSループ」と言う。今名付けた。
一人で孤独に開発し続ける、ってのも大切ではあるが、それを続けてると、大体挫折する。
正のSNSループ」に乗ることがモチベーションを枯らさず開発を続けられるし、時折アドバイスが貰えたりする。
また、Twitterで著名な開発者をフォローすると、TLに開発にまつわる色んな最新情報が得られたりする。私は最近、ニュースサイトをいちいち巡回するよりも、Twitter見てたほうが良いんじゃないかと思っている。
大筋は今もこの考えに変わりはない。だがTwitterというところは、悪い面も沢山ある。自分が向いてないと思ったら無理せず辞めればいい。それも踏まえてTwitterを続けるという人は、ハードルの低い細かいアウトプットの場所として使うといいと思う。
(ちなみに自分のアカウントはこちら↓)
一般の採用情報サイト
マ○ナビとかリ○ナビとかのこと。私はこれらのサイトはあまり利用しなかった。この地域にはこれだけのゲーム会社があることを確認するのには使えるが、会社それぞれの個性やこれまで作ったタイトル等は、やはり個々の企業のサイトを見に行かないとわからない。なので、○イナビ等はざっくりいろんな企業の名前を知りたい時だけ使って、後は知っているゲームのクレジットだったり、SNSで知った企業に、企業HPから直接応募していた。
なお、自分は遭遇しなかったが、稀にマ○ナビ経由の応募しか受け付けていない企業もあるらしい。
結局就職のために何をしたらいいのか
そんなの人次第……ってのが本音だが、就職できる確率を上げる方法なら多少上げられる。なので、あくまで以下は「あくまで私個人の意見」という前提で読んでほしい。
技術トレンドを追うアンテナを張る
面接でよく「最近気になっている最新技術・技術ニュースはありますか?」と尋ねられる。そういった質問に答えられるよう、Twitterなりブログなり、はてなブックマークなり、なんでもいいので、技術トレンドを追うアンテナは張っておくべき。ただしあくまで面接対策で……と調べるのはよくない。仕事では、わからないことを調べることが日常茶飯事。いざそうなったときに、苦しまずに済むような自分なりの「調べる技術」「知識のインデックス」を身に着けておくべきだと思っている。
面接で普通に話せる程度の経験を積む
就職となると、面接だけはどうあっても避けて通れない。バイトするなり、大学等で開かれる面接練習に参加するなり、先述の逆求人イベントに参加するなどして、本番の面接で大失敗しないよう経験を積んでおきたい。
ゲームのプレイ・プログラミングを楽しむ
2年前に記事を書いた時と同じく、これが個人的に一番大切だと思うこと。
ゲームのプレイや、プログラミングが楽しめないと、ゲーム会社に就職しても幸せになれないと思う。はっきりいって、ゲームプログラミングを学ぶのにかかる労力を、Web開発やアプリ開発、ネットワークインフラの学習に費やした方が、普通にいけば生涯賃金は高くなる。それがわかっていてなおゲーム業界に進みたいというのなら、相応の理由が必要になる。その理由というのはやはり「ゲームが好き」「ゲーム開発が楽しい」といったものになると思う。
捕捉
2年前の記事では、ゲーム業界に進むためにやるべきことの一つに「学生のうちにゲームを一本作る」というのを上げていた。これは重要ではあるし、作ったゲームを就活時のポートフォリオに載せられれば、書類選考を通過する確率を上げられると思う。
ただ、当時ほど「ゲームを一本作る」ことに重要さは感じていない。というのも、何人か学生時代にゲームを作ったことがないのに、今ゲーム会社で働いているという方を知ったからだ。
ではなぜ採用されたのか、と考えると、大学での研究が評価されたからだと思う。
大学生、特に情報・システム工学系の学部で研究できることは、最新のゲーム作りに繋げられるものもある。また、ゲーム開発に直接活かせる活かせる研究をしていなかったとしても、研究で一定以上の成果を上げていれば、この人は数学・物理・英語etc...のスキルを持っているとみなしてもらいやすい。
ゲーム開発の専門学校からの就職を狙うのであれば、やはりゲームを1本以上作ることは必須になるだろう。しかし、もしあなたが大学からゲーム業界への就職を狙うのであれば、別にゲームを一本作り上げることに固執する必要はなく、ひたすらに大学での研究活動に打ち込み、それを成果として就職活動に持ち込むのは大いにアリな戦略だと思う。
高校・大学時代には知らなかった疑問とその答え
Q. 学歴って本当に必要なの?
- 部分的にYES。やはり一部の企業や、R&D方面に進みたいなら一定の学歴や研究成果が必要になる。ただ、別に東大京大に行けなかったからあの会社には絶対に行けないなんてことはない。
Q. ゲーム業界の給与水準は他のIT系業界と比べてどうなの?
- やっぱり低いと思う。他の業界に進んだ方の情報を聞くとやっぱり他IT系業界と比べると低いと感じることが多いし、昇給ペースも決して早いとは言えない。まぁここ数年の働き方改革で、よほど駄目な企業以外は、食うのには困らない程度のお金はもらえるようになったとは思う(昔のことは聞きかじった程度の話しか知らないので話半分で聞いてください……)。
Q. ブラックじゃないの?
- ここ何年かで相当マシになったらしい。とは言えまだ残業続きが解消されない……って話はたまに聞く。これはもう会社次第としか言えない……
Q. ゲーム開発ってどうやって始めればいいんですか?
- ひとまずUE4なりUnityなりの汎用ゲームエンジンを触ってみればいいと思う。C++/C#だけで開発することも出来なくはないが、情報の多さやすぐに絵を出せる楽しさを考えると、私ならゲームエンジンから触ってみることをおすすめする。
Q. ゲームエンジンだけじゃなくてDirectX/OpenGL使えないと就職できないってホント?
- うーん。もしグラフィックエンジニアとして採用されたいなら、やっぱDirectX/OpenGL等のグラフィックAPIは触れた方がいいとは思う。ただ、私は就活当時、グラフィックAPIを触ったことがなかった。結局グラフィックAPIを触れなくても、Unityで相当に目を引くゲームを作った、大学の研究で大きな成果を上げた、面接での弁が立つ等、他の人と差別化できる点を持っているなら、それでいいと思う。
Q. ゲーム専門学校ってどうなの?
- ネットで言われているほど悪いところではないと思うよ。専門学校で、十把一絡げの大学生が束になっても敵わないような成果を上げている学生はいるし、フツーに講義を受けていれば、ゲーム制作の一連の流れは学べると思う。
ただ、専門学校は大学と違い、お金を払えば誰でも入れてしまうため、できる人とできない人での格差が非常ーーーに大きいらしい。なぜここに来たの?と言いたくなるような何もやらない・出来ない学生に引っ張られて、自分も駄目になってしまうような人は向いてないと思う。それに専門学校に通っても、ゲーム業界に必ず就職できるわけではない。周りに流されないという自信が持てなら、将来潰しが効く大学に進んだ方がいいのだろう。
Q. あの有名プロデューサやプログラマと一緒に働きたいから○○社に志望します!
マジでやめとけ。
プロデューサクラスでも、会社員である以上は、会社を辞めるときはあっさり辞める。なので、憧れのあの人と一緒に働きたい!で会社を選ぶと、入社したときにその人は辞めていたなんてことはザラにある。人事情報なんか、学生がどう調べたってわかるわけないのだから、憧れのあの人と!という理由で会社を選ぶのは全くおすすめしない。
ただ、その会社の「XXX」というタイトルのゲームが作りたい!というのはやっていいと思う。場合によりますが、そういった所属するプロジェクトの志望は通りやすいので。
まとめ
重ねてにはなるが、これはあくまでn=1の個人の意見。この記事が多少なり参考になれば嬉しいが、基本ここに書いたことは無視してもらっていい。結局実際に手を動かすのはあなたなので。あなたのやりたいように、精一杯頑張ってください。